世界ダウン症の日(3月21日)|広報・SNSに活用したい記念日集

  • 2004年、国際ダウン症連合がダウン症候群の啓発を目的として制定。2012年には国連も認定
  • 日付は、ダウン症患者のほとんどは21番目の染色体が3本あることにちなむ
  • 広報に必要な工夫
目次

世界ダウン症の日とは

2004年に国際ダウン症連合が啓発を目的として制定し、2012年には国連の国際デーのひとつに制定されました。ダウン症に対する誤解や偏見を減らし正確な情報を広める機会として活用されているほか、当事者やその家族が必要な支援を受けられるよう、さまざまなキャンペーンが世界中で行われています。

ダウン症とは?

多くの人は46本である染色体が、たまたま47本ある人たちです。ほとんどの場合21番目の染色体が1本多く3本ある(下の写真の21番)ことから「21トリソミー」とも呼ばれます。最初の報告者、ジョン・ラングドン・ダウン医師の名前にちなんで命名されました。600~800人に1人の割合で誕生します。この変異のある胎児は胎内環境がよくないと流産しやすく、乗り越えて生まれてきた赤ちゃんは強い生命力があると言えます。

画像出所:National Down Syndrome Society. About Down Syndrome.

全般の特性として、筋肉の緊張度が低いといいます。心疾患などの合併症は個人差があります。明るくて優しく人なつっこい性格の方が多く、発達が緩やかなことなどダウン症の影響はあるものの、「普通の子、普通の人間」です。

参考:公益財団法人日本ダウン症協会「ダウン症とは」

https://jdss.or.jp/about-ds/

2019年発表の研究では、日本でダウン症のある人の出生数は年間約2200人と推定されています。出生数は2010年以降、ほぼ横ばいとみられます。

画像出所:国立成育医療研究センター「日本のダウン症候群出生数は、ほぼ横ばいと推定される」(2019年8月9日)

広報に活用するには

SNSの投稿案

「世界ダウン症デー」のキャンペーンカラーは、青と黄色。ダウン症の人々の明るさや希望、個性の多様性の象徴です。青は「安心感」「信頼」「落ち着き」を、黄は「明るさ」「希望」「エネルギー」を象徴。ダウン症のある人々が持つ温かさや前向きな姿勢と、ダウン症のある人々を受け入れ、共に生きる社会を表現しています。

ライトアップ

画像出所:JDSプレスリリース「3月21日、青と黄色のライトアップは何の色? 世界ダウン症の日に、全国各地でダウン症への啓発を広める活動を実施」(2025年3月13日)

3月21日を前に、さまざまな場所で青と黄で彩られます。東京都庁や熊本城などのランドマークのほか、色をつけたペットボトルをLEDで照らす手作りランタンを多数作り、自社の建物に飾ったりする例も紹介されています。

その他、青と黄のリボンやラッピングペーパーで商品を包んだりして写真とともに投稿すると多くの人に見てもらえそうですね。

#LotsOfSocks(靴下がいっぱい)キャンペーン

欧州諸国では、ダウン症デーに「左右違う靴下をはく」キャンペーン(#LotsOfSocks)が実施されています。だれかに指摘されたら「ダウン症のこと知ってる?」と会話を始めるのが目的です。

左右違うカラフルな靴下をはいた足の写真をSNSに投稿し、ダウン症と患者さんへの理解を呼びかけるメッセージを発信したり、左右で異なるデザインの靴下を限定販売し、売上の一部を関連団体に寄付したりする取り組みが紹介されています。

画像出所:Lots Of Socks campaign

ダウン症の人が登場する作品の紹介や感想

たくさんの作品がありますので、好きなものを紹介してはいかがでしょうか。UNICLAからは以下の二つをご紹介します。

2023年BSプレミアムで、2024年7月からはNHK総合で全10回放映されたドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』。作家・岸田奈美さんが自身の家族について綴ったエッセーが原作です。主人公(役・河合優実さん)の弟を演じたのは、ダウン症の当事者である吉田葵さん。以下に演じた感想を載せています(口述筆記)。

https://www.nhk.jp/p/ts/RMVLGR9QNM/blog/bl/pGJ7232jMV/bp/p1YL9mYjJZ/

もう一つは2024年1月公開の映画『弟は僕のヒーロー』。イタリアに住む高校生が2015年、ダウン症のある弟を主人公にした5分のショートムービー『ザ・シンプル・インタビュー』をYouTubeに公開。60万回以上再生された実話をもとにした作品です。

小学館から文庫本も出ています。どちらもおすすめ。

広報への展開

インクルーシブな雇用の紹介


ダウン症のみならず、障害のある人の雇用やインクルージョンへの取り組みを具体的に紹介しましょう。従業員数のデータがあるとプレスリリースとして説得力を持ちます。

例えばスターバックスジャパンは、2021年6月時点で何らかの障害のある従業員が368人と公表しています。店舗で接客を受け「力をもらった」とSNSに投稿しているお客さんも見受けられ、ブランドへのエンゲージメントにつながっています。

「ダウン症は大変」と強調することの問題点

ある大学が2025年2月、ダウン症に関する研究結果のプレスリリースを行いました。しかしダウン症に対する否定的な表現が随所に見られ、SNSでは当事者の家族を中心に違和感を訴える投稿がありました。日本ダウン症協会は「表現により傷ついたり不安を抱いたりしている」ため、配慮するよう申し入れ。該当の大学は表現を修正しました。

ダウン症があることで被る負の影響も確かにありますが、そこばかり強調するのは前向きに受け止め人生を楽しんでいる当事者や家族を傷つけかねません。

できれば、以下の点に留意しましょう。

  1. 当事者の声を中心に:当事者の声や経験を中心に据える
  2. 前向きなメッセージ:「障害」ではなく可能性や多様性にフォーカスする
  3. 継続的な取り組み:一日限りではなく、恒常的な取り組みの一環に位置づける
  4. 専門家の見解を踏まえた正しい情報:誤解や偏見を助長しないよう、正確な情報を用いる
  5. 実質的な支援:具体的な支援や活動を伴わせる

最も重要なのは、ダウン症のある人とその家族に対する真摯な理解と尊重の姿勢を示すことです。当事者の気持ちを想像し、自分や自分の家族だったらどう思うか十分に検討してから広報してくださいね。

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